ダルメシアンのスキップ
- shunjihioki

- 2021年6月21日
- 読了時間: 2分
愛犬ルメを連れていつも公園を散歩する。ルメはダルメシアンである。右目だけが青い。オッドアイが嫌われて貰い手がない子犬を引き取ったのである。なめらかな白い短毛に墨跡のようなまだら模様が美しい。
しかし、ダルメシアンはわりと珍しい犬種であるらしく、軽やかに歩くるめを見て周りの人たちが言う。
「なに、あの変わった模様。白黒でシマウマみたい。」
「あれはホルスタインかな。ははははは。滑稽だな。」
「片目が青いぞ。気味が悪い。ハスキー犬だっけ。」
「ほら、あの、ディズニーの101匹のポインターだよね。妙な模様だなあ。」
いろいろな声が聞こえてくる。すっかり慣れているので、私はルメと目くばせをしながら、笑顔を浮かべて通り過ぎる。
あるとき、10歳ぐらいの少女が息を切らして駆け寄ってきた。遠くから一目散に走ってきたのである。長い髪を振り乱して彼女は犬の前にぺたりと座り込み、一心に話し始めた。
「まあ、なんてきれいなダルメシアン。女の子? いい子ねえ。わあ、ブラウンアイとブルーアイ? なんて素敵な子なの!」
少女は白い犬を抱きしめた。気難しいダルメシアンが、珍しくなすがままになっていた。そしてついに少女の頬をなめた。
ありがとうと言って少女は笑った。
何度も手を振りながら、彼女は去っていった。その日、私は愛犬とスキップをしながら帰った。
「なんて素敵な短歌なの!」そうつぶやいてくれる人と、いつか出会える。そんな日を夢見て、私は今日も、ルメと歌を詠み続ける。




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