top of page

長歌の試み

更新日:2021年6月28日



長歌の試み





 今日はまた、長歌の話です。


 私も歌集『ラヴェンダーの翳り』で、いくつか長歌を作る試みをしています。「クロール」という歌を引いてみましょう。




         クロール


おのづから掌で水かけば 知れること多くあるなり 左手は水をとらへて しんしんと すすみたれども 右の手は水をひつかき 指の間(ま)に雑音混じる 黒板を爪でひつかく あしねはふ憂き音のごと 全身に伝はりきたる やすやすと水に乗らむか 水により拒まれたるか わが掌(て)にて水かきたれば 肌をもてそはわかるなり 進まねばそはしくじりぞ しくじりてまたしくじりて 力みたる掌をつかれさせ 水かきてまた水をかく 際限のなき迷路なり されどまたいつかある日に 光ある場所にこそ出む 生くるべきところを得むや およぐひと無数にをりて それぞれにそれぞれの泳ぎ 性格を遂ぐるうごきに 無駄のある泳ぎもじつは 無駄といふ縛り越ゆるぞ いつまでもどこまでも行かむ とまらずわれは


反歌


難破船沈みゆくごとき泳ぎにていつまでも泳ぎやまぬひとあり


無駄なるも無駄ではなくなつてゐるやうなクロールですでに遠くなるひと





 長歌には長歌のうねりというものがあり、素朴なドラマの時間を表現できます。



 今日の写真は、ノートル・ダムに関する同種の報道写真がたくさんある中から選び、画素数を落とし、トリミングや色彩等の加工を施して用いています。









 
 
 

コメント


この投稿へのコメントは利用できなくなりました。詳細はサイト所有者にお問い合わせください。
記事: Blog2_Post

©2021 SHUNJI HIOKI 
『エメラルドの夜』Wix.com で作成されました。

bottom of page