青梅雨
- shunjihioki

- 2021年7月12日
- 読了時間: 2分
青梅雨
日置俊次歌集『愛の挨拶』より
塵埃
捨て身にてのぼりゆく坂青梅雨にガラスの背骨きしませながら
憂鬱のシャルルが狙ひ巴里に散る硝子か梅雨のわが坂の灯は
青山通りガラスのビルを縫ひあるく巴里の伽藍へかへる眼をして
絵硝子に濾(こ)され床へと降るひかりそを滝のぼる塵埃われは
ノートル・ダムの鐘楼にまだ石の笛にぎるや天使片羽溶けて
今日も言葉の迷路のような世界をたどりながら、その先にある宝箱を探してみましょう。
シャルル・ボードレール『パリの憂愁』の中に、不幸なガラス売りの話があります
シャルルは七階の部屋の窓を開けて、下を歩いているガラス売りを見つけます。彼は重いガラスを背負って歩いています。シャルルは、いろいろ嫌がらせをして、最後にベランダから植木鉢を落として、ガラス売りのガラスをみんな割ってしまいます。
パリには悪意があります。現在でもパリで出会うのは、水爆弾。ビニールに水を入れて、高いビルの上から下の通行人にめがけて落とすのです。私は近くで水が破裂したことがあります。びっくりして上をみても、窓が並んでいるだけで誰がやったのかわからないのです。
私はしばしば、自分がガラスでできているような感覚にとらわれます。
歌に描いているのは渋谷の宮益坂です。ほかの歌でも何度も描いています。途中で渋谷郵便局があり、よくここに寄って切手を買います。長いエスカレーターがあります。
この歌の一連のすぐ近くにもこういう歌を置いています。
ガラス張りの雨のひかりを浴びて乗るエスカレーター 郵便局の
すすめずにのぼれずに湿る風受くる坂に目白の切手買ふなり
2014年4月ごろまで、はがきの料金は50円でした。一番スタンダードな50円切手には目白の絵がありました。
今とは異なり、分かりやすい料金ですし、目白の切手を買うと言えば、はがきを出すんだなとわかった時代でした。現在、はがきは63円ですね。
ガラスを多量に使った渋谷のビル群を見ていると、なぜかパリのノートル・ダムを思い出します。
ステンドグラスの連想でしょうか。
絵ガラスというのは、ステンドグラスのことです。
ノートル・ダム内部には、ステンドグラスを通り抜けた光が、帯をなして、降り注いでいます。
青梅雨は、季語で、新緑に降り注ぐ梅雨のことを言います。
木々には恵みの雨なのです。
しかし、私は、何か憂鬱な青さを持った梅雨の時期というニュアンスもあると思います。ピカソの青の時代のような。何かガラスの青さと通じるような気がして、私は梅雨には青い色をよく用います。
写真は目白の切手。
その下のビルとステンドグラスの写真はWIXの素材です。







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